第15回ハロプロ楽曲大賞'16 >> 個人ページ うーたん55

投票者情報


ニックネーム:うーたん55


ニックネーム:うーたん55


楽曲部門


1位 Next is you! / NEXT YOU :3pts.
  「ふくらはぎバリ筋肉って努力の証だいっ!」というフレーズの見事さ。
歌詞として圧倒しているだけでなくメロディやリズムに完璧にハマっている事でこの曲の疾走感を更に増している。しかし実際にもこの曲はかなり速いテンポなのだが、速さの押し売り感はない。つまり歌のスピード感とバックのスピードが乖離していない。BPMを売りにした「出過ぎた杭」などと比べれば「歌」そのもののスピード感が段違いである。このような数値や楽譜では決して測れない「リズムや言葉が内包するスピード」というものまでしっかりと把握して計算できるのがつんく♂という天才の為せる業なのだ。表面的な疾走感ではないから聴きやすいが、アイドルという職業をテーマにしたドラマの主題歌というお題に沿った、アイドルの儚い輝きという「一瞬」のスピード感を見事に音楽で表現している。振り付けにもあるように、まさに懸命に少女達が「走っている」のである。
2位 Tokyoという片隅 / モーニング娘。'16 :2.5pts.
  最初聴いた時は地味だと思ったのに何度も聴いているうちについ口ずさんでしまう。これがつんく♂マジックであり、隠し味の秘伝のタレであり、スルメ曲と呼ばれる真骨頂。歌メロの後ろで譜久村が叫ぶ「クレイジービート、うぉうおうお、うぉうおうお、うぉー」の意味のわからなさ。無論、東京という都市のノイズ、などと意味を考えることもできるのだが、あえてそんな解釈はしたくない。唐突感こそを味わって楽しみたい。
解釈したいのは石田のパートでの「隙があったんだね」というフレーズ。
これは田舎から上京してすっかり都会暮らしのベテラン風を吹かしている先輩の石田が、東京に後から出てきた後輩の女の子が男に騙されたかなんかして、その後輩に向かってポツリと言い放つイメージ。このイメージを喚起する力がこの曲にはあり、石田のドヤ顔を想像すると良い意味で笑える。アレンジの根本が「野心的でいいじゃん」に似過ぎていたのが少し残念。
3位 サンバ! こぶしジャネイロ / こぶしファクトリー :2pts.
  本格サンバでありつつもハロプロ文法に満ちた、つんく♂が得意としているラテン歌謡の系譜に連なる逸品。スティービーワンダーのアナザースターの引用や庄野真代のジャングルコング(作詞三浦徳子!)のアレンジの踏襲も面白い。さらに歌詞がとても笑える上に深みもある。最近どこにでもありそうなJ-POP的応援歌がハロプロにも増えてきてゲンナリしているのだが、この曲のようにしっかりしたリズムと歌詞の面白さと内容の濃さが備わっているならば大歓迎だ。具体的には「陰ながら他所ながら」の部分が秀逸で「他所ながら」という単語はオリンピックの本質を捉えていてる。つまり親戚でもないのに身内のように応援してしまうという楽しさ。これはスポーツに限らずハロプロを応援することの本質でもあるだろう。皮肉なのはこの優れた曲に何のタイアップも付かず、本当に「他所ながら」歌ってしまう事になってしまったことだが、それもハロプロらしい。
4位 Summer Wind / ℃-ute :1.5pts.
  これは想像だが萩原さんが写真撮られたことを受けてつんく♂が急遽ファンに向けて書き下ろしたメッセージと受け取りたい。実際つんく♂はライナーで夏のドライブに最適などと適当なことを書いていたが、そのような爽快感とは別物に仕上がっている。むしろジメッとした梅雨明け前の「夏」であり、このような日本ならではの「夏」を音で描いた作品として、薬師丸ひろ子が歌った「探偵物語」を思い出した。その意味でサマーソングなのは間違いないが、歌詞や音像から日本独自の夏の空気感が漂う。ビーチボーイズ風のコーラスが入っていても決してカリフォルニアにはならない、というリアリティ。そのリアルな感触が萩原さんの揺れる乙女心とも重なるのである。どこまでつんく♂が計算していたかは不明だが、MVでもフィーチャーされていた萩原さんの心情をこれほど的確に描いた歌詞もないと思わせる。やはり℃-uteも最後までつんく♂に任せたかった。
5位 独り占め / つばきファクトリー :1pts.
  実は今年のつんく♂曲では青春×青春や布施中学校校歌に投票したかったのだがノミネートされてない!仕方なく湿っぽい曲が多くなってしまったが、歌謡曲とは湿度でもある。J-POPの無理した感じの明るさなどは逆に薄ら寒い。今年のハロプロ曲はサビで強引によくあるメロディを使って明るくし、景色が変わり過ぎて興醒めというJ-POP特有のダサい楽曲が多かった。しかしこの曲は違う。洋楽のコピーでもなく文部省推薦の合唱曲を今風にしただけのJ-POPでもなく、あくまでも日本でしか生まれ得ない歌謡曲というミクスチャー音楽の真髄がここにはある。歌詞も優れていて「みんなには悪いけど」とあるが、絶対悪いと思ってないよね、という突っ込みまで計算済みの主人公の逞しさ。糸島distanceも曲は歌謡曲として優れていたが、歌詞の主人公が明らかにブスな子としか想像できない人物造形の浅さが致命的だった。真似ではつんく♂に勝てない。

MV部門


1位 押忍! こぶし魂 / こぶしファクトリー :3pts.
  とにかく観ていて楽しい。前年のドスコイよりさらに状況が不明でシュールなのだが、その分想像力を掻き立てる。色鮮やかな学ランがハロプロの衣装としてはかなり良く出来ていて、ダンスやちょっとした動きにも映える。
2位 カラダだけが大人になったんじゃない / Juice=Juice :2pts.
  予算が安くてもアイデアひとつで何度も観たくなるという典型。
なんといってもボクシングのサンドバッグのシーンでメンバーの性格や魅力を浮き彫りにしたところが秀逸である。佳林のちょこまかした動きがとても良い。
3位 冷たい風と片思い / モーニング娘。'15 :1pts.
  プログレのジャケットデザインで有名なキーフの世界観。ネクロフィリア的な、無機質ながらもなぜか感じる冷たさの中の温もり。
二度も挿入される鞘師のダンスシーンはもっと長く観ていたいと思わせる。

推しメン部門


田口夏実 / 田口夏実
  映像でもブログでも常に面白い。研修生時代が長いこともあって浜浦と共に過去の映像も大量に残っているが、現在とあまり変わってないように思えるのも面白い。リュックサックにお菓子を沢山つめて埼玉から通っているとか、芸能活動を遊びとしても楽しんでいるところなどは、昔のハロープロジェクトキッズの面々を思い出す。
最近のハロプロの新人は優等生タイプが多くなり、それはそれでプロ意識が高く尊敬できるのだが、田口のようないかにも悪ガキという子の存在はますます貴重に思えてくる。かといってスキル的に駄目なわけでもなく歌も下手ではないしステージ度胸は満点。こぶしの楽曲では田口の声が大きなフックになっているし、煽りの「Say ?」のなぜ疑問文!という破壊力も抜群。「This is 運命」で子供のくせに「ちゃんとよく考えなさい」とか言ってるのも爆笑。重鎮の中澤さんをはじめ、先輩方に好かれるのも才能のひとつである。