第8回アイドル楽曲大賞2019 >> 個人ページ aerodynamik

投票者情報


ニックネーム:aerodynamik


サイト:Aerodynamik - 航空力学


コメントページ:外部のサイトにリンクします


メジャーアイドル楽曲部門


1位 いかれたBaby Twilight Room Version / モトーラ世理奈 :3pts.
  フィシュマンズ1993年楽曲カバー。ジャケは沢渡朔。12インチ、ホワイトビニール。歌が上手いとか下手とかそういうものでもないし、この企画が立ち上がった経緯も知らない。Dr.茂木欣一/Ba.柏原譲のフィッシュマンズメンバーが演奏するメインバージョンは音があまりにも饒舌で鼻につくかもしれない。「Twilight Room Version」は、彼女が部屋で観ている夢の中で聴こえてくる音、寝る前に小さな灯で図書館で借りてきた文庫本を読みながらの鼻歌、小宇宙のささやかさな尊さがある。「宇宙 日本 世田谷」のようなスケール感の時代ではない。グローバル・ヴィレッジ/手のひらから世界中繋ぐコミュニティ、そんな「理想」の世界がありふれてしまった結果、全てが晒され、政府ではなく市民自身がビッグ・ブラザーとなって相互監視する時代に、デジタルネイティブの観る宇宙は、多分あの頃の宇宙とは違う。
2位 WANING MOON / MELLOW MELLOW :2.5pts.
  ビートで引っ張るR&B「Hit Me Love」(ハロプロでもお馴染みのAKIRA曲)か、宮野弦士の「WANING MOON」で迷ったけれど、今年らしさでこちら。宮野氏へ「今回は星野源でお願いします」とオーダーを出したらこれが上がってきて、音録ってMVまで完成した時のテイチク社員の興奮を想像しながら相変わらず毎日聴いている。イントロから完璧にキャッチーでスィートなミディアムソウルポップ、抑えめのMAMIの歌からBメロSENAがにバトンタッチした瞬間の視界の開け方、そのサビをMAMIでまた抑える、歌割りでフィルターの開閉のように湿度が変わる。そして柔らかなHINAの2バースに入る直前に一発だけ入るクラップ!「欠けた月」の絶妙な切なさを湛えたラストのシンガロングコーラス。最高。
3位 シューティングスター・ランデブー / sora tob sakana :2pts.
  TIF2019最終日、湾岸マジックアワーのSKY SATAGEでの一発目がこのSchool Food Punishment/SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER/siraph蓮尾理之によるディスコティークナンバーだった。この時間のSKY STAGEにしかないこの感じこの選曲。サビの癖の強いコードワークが憎たらしいほど洒落ていやがる。

4位 コトバドリ (Shin Sakiura Remix) / 原田知世 :1.5pts.
  原田知世、今年初めて「みんなのうた」に採用される。曲提供は赤松隆一郎(アンチモン)。伊藤ゴロー(naomi&goro/moose hill)や高橋久美子(ex.チャットモンチー)、キセルらによる宮沢賢治チルアウトファンタジーな前アルバムも素晴らしかったが、今回の飛び跳ねるようなポップさと、年を重ねてまさに円熟、少しハスキーの入った優しく上品でまろやかな声。そしてSIRUPや向井太一プロデュースでお馴染みShin Sakiuraの洒落たリミックスがその声に最高に馴染む。
5位 Tokyo Burning / lyrical school :1pts.
  RIP SLYMEのPESが初めてサウンドプロデュースを手掛けた楽曲。The Clash「Londons Burning」からアナーキー「東京イズバーニング」経由で、昭和の退屈と鬱憤は、逢えない時間に心を焦がす都会の恋歌に。「AI」の押韻で始まるAメロの待ち焦がれる愛、肌温度の高いBメロは裏入り三連の脚韻、「Tokyo Burning 君とFalling, Falling down/Tokyo Burning 君とFlying, Flying high」のアップアンドダウンは「上がってんの?/下がってんの?」だ。「シャープペンシル feat. SUSHIBOYS」も最高だったし、作家陣の世代的な偏りもあって割とオールドスクールを重視するアイドルポップス/アイドルラップの中で、現行のヒップホップやシティポップを貪欲に取り込んで時代に寄り添うリリスク。もっと売れてくれ。

インディーズ_地方アイドル楽曲部門


1位 しづかの海 / ・・・・・・・・・ :3pts.
  解散ライブの1曲目、For Tracy Hyde管梓 aka 夏botのシューゲイザー曲。散るためだけに咲き誇る花、そして中盤のモノローグはあまりにも美しい。時々、その詩を口ずさんでみる。今、RAYがこの曲を歌い繋いでいる。あの時観たものとは違う、頭では分かっている、でもこの虚ろな/不確かな/喪失の物語は、死を覗き込むように甘美で憂鬱で退廃に満ちた騒音と、シンプルなスポットライトの中で踊る白いアイドルと共に、確かに都市の記録を刻み続けている。
2位 モイスチャーミルク / HALLCA :2.5pts.
  活動自体どうなるかと思ったHALLCA(ex.Especia 冨永悠香)が辿り着いたユートピア。はるかちょがメロ詞を書き、PellyColoがトラックメイク/Rillsoulのトラックにはるかちょがメロ詞を乗せる。ナンバーワンよりオンリーワンで長く歌い続ける心境に至った、そのリラックスモードが反映された傑作。Especiaの頃のある種のスノッブさを取り払って、ギラついたところがない大人のミッドテンポポップスの上に、滑らかで自然体の心地良い声。中年の乾燥した肌と心ですら潤していく。
3位 one of us ~語り合える瞬間~ / CHiSEMiKU :2pts.
  2011年の活動開始当初からヴォーカルの支えであり、2016年にLinQを卒業した深瀬智聖/一ノ瀬みくが、やっとリリースに漕ぎつけたオリジナル曲。信頼のSHiNTA印のミディアムナンバーであり、そして何よりリリックが泣ける。グループを卒業した大人のアイドル、そして彼女達を長年見続け、苦楽を共にしてきたオタクや仲間たちとの温かい信頼と笑顔の溢れる関係だからこそ歌える、アイドルとオタクの幸せな関係、この曲の圧倒的な豊かさ。グラスをかわし乾杯しよう、この出鱈目な人生と音楽に。
4位 かいかのMUSIC / 開歌-かいか- :1.5pts.
  少女によるコーラスグループ、唱歌の香りがするオリジナル曲、「あの素晴しい愛をもう一度」などの流行歌を、生花を散らしたワンピースに身を包み、アカペラとボイスパーカッション(!)で聴かせる清清しい若さ溢れる彼女たちが突然発表したダンスナンバー。徹底して音を削ったトラック、「ダンスビートが涙をぬぐってくれる時もあって/わたしたちこの3分間、どこへだって行けるんだ/シーツの上をすべるミラーボール」、生々しい、あまりに生々しい音楽とダンスへの肉体的衝動。
5位 Seek / 校庭カメラガールドライ :1pts.
  校庭カメラガールは終わってしまった。終わりの空気を感じていたくせに、なんで終わってしまったのかは相変わらずよく分からない。沢山の人がこのアイドルラップコレクティヴを辞めていった過程で、人間の才能が覚醒するとはこういうことか、そういう瞬間をいくつも見てきた。「らみたたらった」は最後にラガなフロウを身に付け、誰も真似できない、アイドルラッパーの極北に立って、美しく去っていった。真っ平らな地平を滑るように、静かに、穏やかに、感覚がどこまでも広がっていくサウンド、多分これは電気グルーヴ「虹」とかそういう類のものだけれど、探していたものには届かない、届かない、それでもあなたは生きていく。「夜が光ってる 僕は居ないけど 今僕は光ってる 夜は居なくても」

アルバム部門


1位 『Dawn by Flow』 / 校庭カメラガールドライ :3pts.
  本気でフジロックでも戦えると思った。いくら音も雰囲気も最高だからって、フロアも最高だからって、あの小さなsolfaのステージで、演者は夢を見れるのかな?いつもそう思っていた。アンダーグラウンドの美学を貫きながら、それでももっと大きな世界で戦える3人だと思っていた。
2位 『Candle Lights』 / 原田知世 :2pts.
  原田知世51歳、ベッドに入る前の時間のための上質なカバー集。こちらも伊藤ゴロープロデュース。 中谷美紀も歌った大貫妙子「夏に恋する女たち」が出色。
3位 『Atmosphere -Serph Progressive Remixes-』 / amiinA :1pts.
  好きなアイドルの音源が、Serphと共振して「noble」の型番を付けてリリースされる幸せ。
長年にわたり存在すら謎であった、引き籠りピュアエレクトロニカ職人Serphが、デデマウスと出会い、コラボを通じてデデマウスの突き抜けた爽やかさに心を打たれ、少しずつ社会に心を開いていき、外に出てライブをし、遂にはあの仮面を外した、そういう光に満ちた過程で生まれた作品でもある。
台風のため実現しなかった、沖縄でのamiinA/Serph/デデマウスのステージ。チケットも航空券もホテル代も全部払い戻したが、沖縄の太陽の下で、Serphの恥ずかしそうな笑顔が見たかった。

推し箱部門


RHYMEBERRY
  ライムベリーでした。