第9回アイドル楽曲大賞2020 >> 個人ページ aerodynamik

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ニックネーム:aerodynamik


サイト:Aerodynamik - 航空力学


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メジャーアイドル楽曲部門


1位 HOMETENOBIRU / lyrical school :3pts.
  valknee作詞。巧い/プロップスがある/強い/悪い/稼ぐ/モテる/盛り上げる、などセルフボーストバリエーションは多々あれど、マチズモの塊であるヒップホップ界においてフィメールラッパーが泥臭く戦ってきた過去を知るがゆえに、制作/プロデュース陣のヒップホップに対するリスペクトが崇ければ崇いほど、アイドルラッパーに「可愛い」だけで押し切るセルフボースト曲を書くのは難しかったはずだ。Maltineの現場で遊んで育ったデジタルネイティブ世代がiPhone片手に歴史を飛び越えていく、これは今のフィメールラッパーにしか書けない革命的な曲。リアルとフェイクの物差しから逃れるために、敢えての「B-GIRLじゃなくてI-D-O-L」宣言が必要だった時代はもう終わった。
2位 記憶 / イヤホンズ :2.5pts.
  □□□三浦康嗣提供。高野麻里佳/高橋李依/長久友紀による声優ユニット。アルバム冒頭はナタリーのアルバムリリースインタビューの会話をカットアップした「記録」、そのまま街の背景音をクリップしたビートとポエトリーリーディング/ラップによる「記憶」へ繋がる。声優の声を歌を通して「歌」でなく「声」そのものとして最大限に引き出す、RYUTist「ALIVE」と対を成すカラフルな傑作。
3位 I see... / 乃木坂46 :2pts.
  賀喜遥香センター、乃木坂4期生曲。林田健司/清水信之/小西貴雄/小森田実/CHOKKAKUらが作り上げたmid90sのSMAPディスコクラシック達を多分に意識した楽曲は、嵐仕事が豊富なyouth case作曲、佐々木博史編曲。まだ音楽業界がバブル景気の残り香を纏っていた頃のあの浮かれた空気、浮かれたステップ。都知事による外出自粛要請記者会見と同日に公開され、忘れてかけていたあの賑やかで華やかなカラ元気を緊急事態宣言下に振りまいた。アイドルにしかできないことは沢山ある。
4位 透明クリア / 福原遥 :1.5pts.
  星野源「POP VIRUS」収録「サピエンス」にエグいベースラインを提供したSnail's House(Ujico*)作曲編曲。中田ヤスタカを飛び越えて世界に飛び出すデジタルネイティブ世代の「Kawaii Future Bass」と透明感ある女性とのコラボレーションの好例。
5位 トーキョー・イノベーター / CY8ER :1pts.
  KOTONOHOUSE提供。全てを叶えてくれるはずだったインターネットは、いつしかSF作家の予言通りに市民自身による徹底した相互監視の目に形を変えた。現実とSNSに境目がなくなった息苦しい世界の中で、Soundcloudは新しい宗教を生み、根拠も自信も裏付けも無いままヤマハの歌姫は自由と希望と解放を能天気な言葉で高らかに謳う。ダンスカルチャーのオプティミズムは場を変え形を変えて継承されてゆく。「明日は明日の風が吹く」のバランス感覚の秀逸さ。

インディーズ_地方アイドル楽曲部門


1位 Ajisai / ピューパ!! :3pts.
  喪失と光。スーパーカー「HIGHVISION」リリース後に書かれたけれど「Answer」と毛色が違うのでお蔵入りになったまま忘れ去られていたナカコーのデモテープ音源、くらいに過剰なロマンティシズム。
2位 OiSa / ばってん少女隊 :2.5pts.
  今年JVCKENWOOD Victorとの契約が切れたスタダ九州ユニット、自主レーベルからの起死回生の一手はファンク/アヴァンギャルド色強め。 ASPARAGUS渡邊忍提供。Mark bellのようなトランシーさを備えたミニマルエクスペリメンタルとトリッキーな言葉の乱れ打ちの強烈な中毒性、「トリック」を想起させるオカルティックで美しいMVも隙が無い。
3位 わたしたちの地図 / SAKA-SAMA :2pts.
  佐々木喫茶提供。ここねんの不安定さがもたらす胸を締め付けられるほどの切なさと喫茶曲の相性の良さ。
4位 SEEYOU(Let's Dance) / MIC RAW RUGA(laboratory) :1.5pts.
  箱代の安い休日の昼前に始まって昼下りには終わってしまうインディーズの対バンライブの後、気怠いオタク同士で下北沢の安いカレーを食べながらEVISBEATS「ゆれる」だったなあと頷きあう、心象風景とバース2が終わってからの魔法の時間、「分かってる分かってる私全部分かってる」、日常/世間との葛藤ループ、それでもちゃんと呼吸をして、天気を感じて、朝まで踊って、そうやって人は生きていく。
5位 ALIVE / RYUTist :1pts.
  Celebrate Brooklynフェスでのtortoise「TNT」再現ライブで蓮沼執太に再会したPENGUIN DISCレーベルオーナー南波一海氏が思い付きで楽曲提供を依頼、というHEADZレーベルメイトいい話まで含めて素敵な曲。失われた春を丁寧に色づけていくフィルの一音一音が愛おしい。いつかこの曲をホールで。

アルバム部門


1位 『Short Short Songs 1』 / なにぬねるん? :3pts.
  TikTokでバズらせることを目的として作られた(のにまだTikTokに投稿されていない)一曲20秒前後、全部で2分半のアイデアの欠片。
2位 『ファルセット』 / RYUTist :2pts.
  「青空シグナル」から早2年、積み上げてきた信念と実践、水がきれいな土地で育ったアイドルの豊穣
3位 『tick tock』 / 963 :1pts.
  10曲中7曲がKenichiro Nishiharaでかつほぼ全編ユニゾンだったこともあり同じような曲調に偏っていた前作から、一気に鮮やかに、霞が晴れたような、それでいて夢を見ているような。

推し箱部門


Perfume