第7回アイドル楽曲大賞2018 >> 個人ページ こいけ

投票者情報


ニックネーム:こいけ


メジャーアイドル楽曲部門


1位 Taking you out / PassCode :3pts.
  ちゆな全開ではじまって、ピコピコからゴシック調、ビッグビート色も感じられつつからの、不穏なシンセ音に定番のブレイクダウン、さらにお久しぶりのツインスクリーモまで、なんでもかんでも混ぜ合わせた闇鍋のようなピコリーモ。しかも4分以内におさめちゃう。ここまでやられたら笑うしかないでしょう。「bite the bullet」で行き着いてしまった感があったけど、まだまだ楽しめるな。最高。
2位 Hello No Buddy / callme :2.5pts.
  淡々と回り続けるブレイクビーツとか美味しいベースラインとかに目新しさはなくとも、とにかく総合力が強すぎ。異様に手堅い。良曲をコンスタントに出している中で、さらにアベレージを爆上げする1曲。アイドル楽曲としては色んな意味でオーバークオリティなのかもしれない。でも、くじけずに頑張ってもらいたいです。
3位 New Stranger / sora tob sakana :2pts.
  音は先鋭さを増したマスロック、歌詞はアニメのテーマを忠実に踏まえたもの。それでいてメジャーを主戦場としていく現在のオサカナとリンクしてもいる多重構造に深みがある。それにしてもオサカナをこっちに入れるというのが感慨深い。夏場からの大量解散を見るにつけ、メジャー=勝ち組というわけでもなさそうだけど、面白いことがたくさん起こるといいなと思う。
4位 花火と漫画とチョコと雨 / はちみつロケット :1.5pts.
  アイドル・ディスコファンクのある方向における完成形。借り物を借り物と感じさせないボーカルワークの図太さが好き。変態チックな「おかしなわたしとはちみつのきみ」も悪くはない。ただ、はちロケは敢えてこっちを推したい。
5位 かえろうよ / ヲルタナティヴ :1pts.
  盛り上がるという分かりやすい理由でEDMを取り入れたアイドルは多数いて、アイドルソングはその軽率さと安易さによって発展してきた側面もあって、それがこのジャンルが生み出す音楽の得体の知れない面白さで、ひろしまMAPLE☆Sなんてその実例で、それが何をどう間違えたか「かえろうよ」みたいな心を突き刺してくるどうしようもない寂しさを具現化したような泣きたいくらいに完成された楽曲にたどり着いてしまうのだからアイドルはやめられない。

インディーズ_地方アイドル楽曲部門


1位 アイデンティティ / 真っ白なキャンバス :3pts.
  2017年が生んだ奇跡の名曲量産グループ。全楽曲が傑作で選びようがないため、便宜上、彼女たちの原点ともいえるこれを挙げる。「自分さがし」という陳腐化したテーマが、切なさと煌めきの入り混じったトラックと歌詞の等身大の心理描写によって、エバーグリーンな魅力を発する良質なアイドルポップスに生まれ変わっている。ライブでは、登場SEからのイントロを聴くだけで何とかの犬のように心が浮き立ってしまう。アイドル“ソング”が好きな人はとにかく真っ白なキャンバスを聴いて欲しい。
2位 blue moon. / tipToe. :2.5pts.
  このグループの生み出す楽曲群のメロディラインの美しさは、現在のアイドル界屈指ではないだろうか。というよりも音楽界屈指と言ってもいいような気がする。「blue moon.」を聴けばきっとご理解いただけるはず。ウェルメイドってこういうことだよな、と。ファンに怒られることを承知で書けば、ユニゾンを多用した無個性で交換可能なボーカルの中に逆説的に大きな個性を生み出すことに成功したグループだと思う。
3位 イッツ・マイ・ターン / フィロソフィーのダンス :2pts.
  一見オールドスクールへの回帰のようでいて音質は現在進行形。アイドルファンクの最先端を行く会心の傑作ですね。楽曲の作りが容赦ないのでゴリゴリのボーカル・日向ハルがいないと成り立たない反面、十束おとはのフニャフニャな歌唱が随所に確かなユーモアを与えているのも大きな美点。おかしなグループですよね。
4位 春風 / Task have Fun :1.5pts.
  アコギと鍵盤をフューチャーしたことでボーカルの美しさが際立つ、「3WD」路線とは全く異なる傑出した存在感を発するバラード。三人とも“歌える”からこそこういった正統派な歌ものが成立するんだな。ワンマンライブではアウトロのヲタクのシンガロングが延々と続くことで、とてつもなくエモい時間が生まれるので、この曲の真の魅力に接するためにぜひワンマンへ足を運ぶことをおすすめしたい。
5位 ショートスリープコード・デイドリームハミング / WEAR :1pts.
  Hauptharmonie・イズ・バックとか書くと怒られそうですけど、実際そうなんだから。相変わらずジャンルごちゃまぜで楽曲を取り揃えているので、好みと刺さらないの差が激し過ぎてライブに行く気が起きない。結果、在宅でこの曲ばかり聴いている。グループ自体への思い入れとは別に、メロディックパンクの精神をアイドルポップスに変換するハウプトの常套手段がまた復活したという意味で、快哉を叫びたくなる一曲。

アルバム部門


1位 『White Canvas』 / 真っ白なキャンバス :3pts.
  今年はこのグループの存在に尽きる。個性派揃いの2017年デビュー組の中でも楽曲、パフォーマンス、そしてキャラクター、全てが異彩を放っている。本作は第一期“白キャン”のすべてが詰まった傑作中の傑作だ。
カテゴリとしてはメロコア/パワーポップ路線。だが、先達となるバンドの単なる物まねに陥らず、等身大の歌詞と繊細なサウンドメイキングによって、あくまでもアイドルソングとして成立している点が凄いし、面白い。そして美しい。
加えてメンバーの声質がそれぞれに特徴的で、ユニゾンに頼らずに全員がそれぞれのパートを持つことで、曲の世界観が彩り豊かに広がっていく。小野寺梓の切なさをたたえたロングトーンと鈴木えまの浮遊感のあるウィスパーボイスが一曲のなかに同居している点は、もはや奇跡という他ない。
残念ながら11月をもって強力なボーカル立花悠子が卒業となったが、まだまだ可能性を秘めたグループだと思う。
2位 『Pop Classic』 / Fullfull Pocket :2pts.
  前進グループ時期を含めて、活動初期ではなく今ここで、ついにこういった作品が登場することが凄いと思う。クラッシックになる作品を作ってやるぜという壮大な野心をコンセプトに、NegiccoやRYUTistとはまた違ったかたちで、フルポケはポップスの魔法を手に入れた。タイトル曲をはじめとして、“王道”アイドルソングをアップデートする試みは大きな成果を上げている。細かな音まで拾って聴く楽しみがあって、いつまでも飽きが来ないのも魅力です。
3位 『NEO GLAMOROUS』 / NEO JAPONISM :1pts.
  ライブの圧倒的な勢いを封じ込めた傑作アルバム。
真っ白なキャンバスとも通じるのだけれど、既存のバンドサウンドを再構築して、ちゃんとアイドルソングに作り替えているところが最高。ビートを効かせたロックナンバーがだんだんと変貌し、サビの段階で明朗なアイドルソングにがらりと姿を変える「ジャンピンポ!!!!!」の破壊力はその最たるものだろう。
「トゥ・ザ・フューチャー」を筆頭に、間宮遊という強力なボーカルを有することで出来上がった楽曲も多いが、その他のメンバーの声もそれぞれに魅力的であり、曲ごとに多彩な味わいを与えている。

推し箱部門


真っ白なキャンバス
  今年はこのグループを推すしかない。
異論はあるだろうけど、メロコア/パワーポップを“絶対的な軸”にすることに、はじめて成功したアイドルだと思う。
大半の作曲と全ての編曲を担うのはバンドおよそ3の葵。バンドの曲を聴くと音楽の引き出しを無数に持っている方のようで、今後にも期待できる。
本アルバムに収録されていない楽曲まで残らず良曲という稀有なクオリティコントロールがされており、真っ白なキャンバスの存在はアイドルソング好きに何としても届いて欲しい。
なによりもこのグループが、芸能プロダクションの資本とはおそらく無縁な二十歳そこそこのプロデューサー/大学生たちの情熱の産物である事実は、楽曲とは切り離して考えるべきであれ、ひたすらにエモい。最初期の活動に見える手作り感は、情熱とセンスが資本に打ち勝った好例だ。
白キャンを作ってくれて本当にありがとう。賛同し集ったメンバーとスタッフにも最大限の感謝を。